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下僕なわたし~理子 1~
中高一貫校から大学まで同じで、しかも、同じ学部で、ゼミも同じで、そして、脅して修士課程まで付き合わされ、腐れ縁というより、下僕なわたしは、常に奴から離れる隙を探していた。
奴が起業していたから、就職しないだろうって、東京の最大手IT企業のロニーを受け採用されたから、大学院修士課程を卒業したら、奴から解放されると思ってたのに、奴は起業した会社をロニーに吸収合併させ、新入社員の癖に、わたしの上司になった。
ありえない…。
職場には大学院時代に、奴にこき使われたメンバーがズラリと並び、奴の手がけてる仕事を、ロニーでも取り組んでいて、新鮮味もなければ、真新しさも無い。
「理子、これ、今日中にやれ」
中学高校、大学と、わたしをこき使う奴は、長身で引き締まった身体で、整った顔立ちをして、もはや人ではなく造られたアンドロイドのように思えてしまう。
奴の名は、結城 創真。
逃れたくても、逃れない。
わたしと奴の求める、思考、興味関心が近いからなのか、なぜか、いつも、同じ教室で勉強をし、わたしはこき使われていた。
奴に投げられた、仕様書。
また、無理難題を1日でやれと命令してきて、自分は接待という女遊びをしてくるのか…。
奴に気づかれないよう、小さくため息をついた。
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