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01_ふざけて召喚したら、本当に悪魔が出た。
ふざけて召喚したら、本当に悪魔が出た。
うん、たぶん、悪魔だ。そのはずだ。
ネットの、悪魔召喚プロトコル、って書いてあるのをやったから。
しかし、目の前に出てきたこいつ、本当に悪魔、だろうか。
「うう……」
苦しそうにうめいて、紫色の液体を床に吐き出す。
うわうわ、やめてくれ、できれば敷金は返してもらいたいんだ。
最初に、腕が出てきた。
床に手をついて、穴から這い上がるように頭と、身体。
片足の先を引っかけて、お尻を持ち上げるようにぐんと引き上げる。
で、そのまま前のめりに崩れて、さっきの紫のゲロだ。
残ってたもう片足も、どうにか引き抜いた、って感じだった。
一応、人間っぽい形はしてる。服らしいものも着てる。
わ、よく見れば、全身紫の汁でべしゃべしゃだ。
マジか。悪魔召喚するときは新聞紙敷いてください、ってちゃんと書いといてほしかった。
魔法陣を表示してたiPhoneも濡れてる。まあ、これはいいか。防水だし。
「オレを呼んだのは、あんたか……?」
赤く光る瞳。口の端から見える牙。
黒っぽいフードを被って、ゆらりと立ち上がる。
うん、この感じは、わりと悪魔っぽい。
「えーと、古の盟約により汝を我がしもべとする。……合ってる?」
俺は用意しておいた皿のイチゴをひとつ取って、目の前の悪魔っぽいのに投げた。
「わうっ……!」
赤い瞳を輝かせて、牙の生えた口をぱっと開く。
食べた、という感じではなかった。口に入った瞬間、光になってイチゴが消えた。
「応えよう。これより我は、汝の下僕……!」
たったイチゴ一粒で、俺は悪魔を従えることに成功した。らしい。
わりとそれっぽく応答してくれた悪魔だったが、一瞬後にぐにゃーっと脱力する。
「た、助かった……」
紫汁まみれのそいつは何故だかそうつぶやいて、糸の切れた操り人形みたいにバタンとぶっ倒れた。
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