02_下僕ができたはずなのに、なぜか俺が洗濯している。

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02_下僕ができたはずなのに、なぜか俺が洗濯している。

 下僕ができたはずなのに、なぜか俺が洗濯している。  例の紫の液体は、水ですぐ流れるが、なんかちょっと、生臭い。  いきなり洗濯機に入れて、俺の服まで臭くなるのだけは勘弁だ。  縁にファーのある黒っぽいフード付きコートはわりと薄手で、その下はなにも着ていなかった。  脱がせたら、脇腹のあたりに、魔法陣に描かれていたのと同じ模様が刺青になっていたから驚いた。  膝くらいまでの緑のズボンも脱がせて、まとめて洗面のとこで水洗いだ。  下着なのか包帯なのか、腰にぐるぐる巻いてる布は、めんどくさそうなので放置。  どうなってるのかよくわかんないし。シッポのとことか。  当の本人は、服を脱がされてもしばらくは気を失ったままだった。  数分で目を開けて、今はユニットバスのバスタブにぼんやりと浸かっている。 「お前、イヌなのか?」  洗濯しながら俺が聞くと、下僕のくせに赤い瞳がギロリと僕を睨んだ。 「オオカミだ。……たぶん……!」  たぶん、て。  銀と白の混ざった髪からは、同じ銀色の獣耳。  おんなじ調子のシッポがお尻のとこに生えている。  手足の爪はとがっていて、できればひっかかれたくない感じ。     
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