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03_まあ、せっかく召喚したわけだし。
まあ、せっかく召喚したわけだし。
異世界の住人が俺に忠誠を誓うって言うなら、やらせてみたいことはいろいろある。
とりあえず、初仕事として汚した床をゾフに掃除させてみることにした。
もしかして魔法一発でガツンと解決したりしないか、なんて期待したが残念。
蛇口ひねって雑巾濡らして絞って普通に拭いてる。
一応、日常生活する上での常識は持ってる、ってことだろうか。
そうこうするうちに、床はきれいになった。
まだ少しだけ生臭い気もするが、換気し続ければどうにかなるだろう。
雑巾を洗うゾフに、俺は声をかけてみた。
「ところで、なんなんだ、この臭い紫のヤツは」
「ニクの、もと」
なんか気持ち悪いこと言いだしたぞ。
絞った雑巾を流し台に掛けて、ゾフは俺の向かい側に座った。
「なんだよニクって」
「オレの身体を作った材料」
俺の長袖シャツを着た悪魔は、袖をだぶつかせたまま、犬のおすわりポーズで座っている。
「……つまり、ゾフはまさにさっき『生まれた』ってことか?」
「そうとも言えるし、そうでないとも言える」
もしかして、めんどくさいやつか、これ。
「でもさ、身体がさっきできたってことはさ」
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