03_まあ、せっかく召喚したわけだし。

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「その前から、オレはずっとあそこにいた。生まれてなかったわけじゃない」 「あー、そういうアレか。んじゃ、さっき受肉した、の方が的確か?」  こくこく、とゾフがうなずく。  それから少し話して、何となくだが言いたいことは分かってきた。  死後の世界か、魔界か、地獄か。  何とでも呼べそうだが、とにかくゾフはその手のとこから来たらしい。  もうちょい言うと、俺が引き上げてやった、ということになる。  そう言えば、召喚されたあと「助かった」なんて言ってたな。  受肉できてよかった、ってことなんだろうか。 「悪魔って言えばさ、ほら、色々いるじゃん、有名なのが」 「?」 「ルシファーとかメフィストとかアスモデウスとかベリアルとかさ」  おお、縮み上がるってのは、こういうのを言うのか。  目は見開いて身体は硬直して、耳が後ろにぴったり倒れちゃってる。  シッポなんか、お手本みたいに股に挟まってるぞ。  あ、両手の爪が床板引っ掻いてる。敷金終わったなこれ。 「そういうのが出てくるんだと思ってたんだが」  ぶんぶん、とほんとに音が出そうな勢いで、ゾフが首を振る。 「そそそそんな怖いの、無理だ、オレ考えるのも無理だ」  へえ、悪魔も悪魔が怖いのか。上司とか社長みたいな感じか?     
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