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「その前から、オレはずっとあそこにいた。生まれてなかったわけじゃない」
「あー、そういうアレか。んじゃ、さっき受肉した、の方が的確か?」
こくこく、とゾフがうなずく。
それから少し話して、何となくだが言いたいことは分かってきた。
死後の世界か、魔界か、地獄か。
何とでも呼べそうだが、とにかくゾフはその手のとこから来たらしい。
もうちょい言うと、俺が引き上げてやった、ということになる。
そう言えば、召喚されたあと「助かった」なんて言ってたな。
受肉できてよかった、ってことなんだろうか。
「悪魔って言えばさ、ほら、色々いるじゃん、有名なのが」
「?」
「ルシファーとかメフィストとかアスモデウスとかベリアルとかさ」
おお、縮み上がるってのは、こういうのを言うのか。
目は見開いて身体は硬直して、耳が後ろにぴったり倒れちゃってる。
シッポなんか、お手本みたいに股に挟まってるぞ。
あ、両手の爪が床板引っ掻いてる。敷金終わったなこれ。
「そういうのが出てくるんだと思ってたんだが」
ぶんぶん、とほんとに音が出そうな勢いで、ゾフが首を振る。
「そそそそんな怖いの、無理だ、オレ考えるのも無理だ」
へえ、悪魔も悪魔が怖いのか。上司とか社長みたいな感じか?
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