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05_めっちゃ目立つ。ゾフ、めっちゃ目立つ。
めっちゃ目立つ。ゾフ、めっちゃ目立つ。
いや、悪魔だからとか、ケモミミだからとかじゃない。
ガウガウ言いながら高円寺の街を走ったら、そりゃ誰でも振り返るわ。
しかし、悪魔がいることよりも、誰かが全力疾走してることのほうが耳目を集めるって、ある意味怖いな。
「止まれゾフ! 主人の命令だぞ!」
俺の声も、どうやら届いていないらしい。
これじゃまるで、リード外れたイヌだ。いや、呼んでも振り返りさえしないのは、ある意味イヌ以下か。
「ゾフ! 止まれって!」
アーケードの商店街を疾走していたゾフが、不意にぴたりと立ち止まった。
ようやく言うことを聞いたな、と思った俺がバカだったか。
「……あったぞ!!」
コンビニの自動扉が開くと同時に、するりとその身が店内に消えた。
あーヤバい、めっちゃシッポ振るからコートの裾から見えてる。
慌てて後を追うと、レジのカウンターに乗り出して目をらんらんと輝かせるゾフがいた。
ヤバい。耳とかシッポとか言ってる場合ですらない。
まさかいきなりコンビニ強盗とは。確かに金が欲しいと言ったのは俺だが。
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