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「貴様を抱いてやろう。服を脱げ」
「今、ですか?」
王の後ろには銀の甲冑を着た兵士が二人、僕の後ろには獅子の兵士が一人、そして、横には数人の兵士が並んでいる。
「今、ここで抱いてやると言っているのだ!」
王の咆哮が王の間の高い天井に反響した。鋭い金色の眼光が僕を逃がさない。
────王は僕を試している……!
「どうした?嫌なのか?まさか敵国の海賊に絆されて身を差し出したのではないだろうな?」
「そんなわけないじゃないですか!僕はルマン様の番で、他の者に身を差し出すなど不可能です!」
あなたが僕の身体を見えない鎖で繋いでいるんじゃないか。あなたが僕の自由を奪ったのではないか。ただ己の欲望を満たすためだけに。
抱くと言っておきながら王は全く僕に近付いて来ようとしない。完全に僕を疑っているのだ。このままではアキークのしてくれたことが全て水の泡になってしまう。王は僕との番を解消し、アキークを始末するかもしれない。
「……っ、分かりました……」
アキークに貰った服のほとんどは惜しみながらザイル号に置いてきた。僕が着ているのは一枚の黒いシャツと同じ色のズボンだけだ。そのシャツを脱ごうとしてボタンに手を掛けた時、ハッとした。
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