2人が本棚に入れています
本棚に追加
清香と、その彼の成宮 泰地くんと伊藤くんの三人は小学校からの付き合いで、仲が良い。
「今日のラインアップ、なんかすごくない?」
そう言いながら、伊藤くんが隣の席から移動させた椅子に座った。
「ほらね?・・・ひろ、来るの早いよー鼻が利くなぁ」
清香が小声で話してたのは、伊藤くんがモテるから。
恋バナしてるなんて思われると厄介なのだ。
私が出会った中学の頃は、今ほどじゃなかったけど、学年が上がるにつれ、女の子達から名前を聞く事が多くなった。
何人か告白したみたいだけど、全て玉砕。
バレンタインだって、誰からもチョコを受け取らないと公言して、それでも机や下駄箱に入っていたものは、友人にあげてしまうらしい。
「何度も言うけど、チョコ受け取らないよ。甘いの好きじゃないし。それ以外も同じだから、もうやめて」
当日、教室にチョコレートを持参した女の子達が、そんな風に言われていた。
変に期待させないように、敢えてキツイ言葉で返事するらしい。
だからこそ、不思議で仕方ない。
去年のバレンタインデーの事。
最初のコメントを投稿しよう!