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…なんでこんな時に、高校時代のことなんて思い出すんだ。
中学校の頃、俺はバスケ部だった。
ほかの人の何倍も努力した。ハードな練習を終え、みんなが帰ったあとも、体育館に残って練習した。だから中学校の頃は常にスタメンだった。
スポーツ推薦で高校も決まった。インターハイ常連の強豪校だ。俺はバスケで生きていくんだと、本気でそう思っていた。
だが高校に入学したとたん、自信は木っ端みじんに砕かれた。
身長が二メートル近い人、体格が良くて筋肉隆々な人、動体視力が良くて俊敏な人、まるでNBAの選手みたいなシュートを決める人…。そこは天才たちの巣窟だった。
どんなに努力しても、差が縮まることはなかった。俺は自分に失望し、たった半年でバスケ部を去ってしまった。
人生で初めての挫折だった。
…だからなんなんだ。過去のことだろうが。自分に同情なんかしてどうなるっていうんだ。しっかりしろ、月城 拓叶!
自分自身に喝を入れ、深呼吸し、何かカクテルを作ろうと立ち上がった、その時。
「あれ? 月城さん?」
…七星が従業員用の扉を開け、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。
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