8月 part 2

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8月 part 2

「おい七星、どういうことだよ! なんであんなことした!? お客様を殴るなんて、クビになりたいのかよ、おまえ! …おい、聞いてんのか、おいっ!」  七星は俺の問いかけに何も答えず、視線も合わすことなく、オーナーの後について、従業員用の控え室に入っていく。七星が部屋に入り、ドアが閉まると同時に、オーナーの怒鳴り声がドア越しにまで聞こえてきた。  俺はため息をついて、その場を離れる。  七星は、バーの雰囲気を台無しにした。  あれからお客様全員にスタッフ総出で謝罪し、お代をサービスした。一日分の売り上げの損失。それだけでなく、バーの信頼も失いかねない事態だ。  オーナーの説教が終わり、部屋から出てきた七星は、スタッフのひとりひとりに頭を下げ、謝罪してまわっていた。だが俺には何も言いに来ない。料理長に謝罪した後、ひとりで黙々と片付けをしている。  訳が分からな過ぎて腹が立った。  なんなんだよ、あいつ…。
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