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9月 part 1
東京都港区 西麻布。
大通りから離れたところにある、車がギリギリ一台通れるくらいの裏路地。看板も出ていない。見た目はどこにでもある普通のアパート。
その2階にあるのが、『BAR・Hideout』(バー・ハイドアウト)。
上品なアンティーク調のシャンデリア。ほのかなオレンジ色の間接照明。バーテンダーの背後には、ステンドグラスの光に照らされて、スピリッツやリキュールの瓶たちがきらきら輝いている。ダークブラウンで統一されたカウンターやテーブル席。奥には完全個室のVIPルーム。
高級感漂う、ラグジュアリーな雰囲気のバーだ。
会員制で、既存の会員からの紹介でないと入会できない。しかも入会金は50万円という、わりとハードルの高いバー。だから顧客のほとんどは、芸能人やスポーツ選手、モデルなど、有名人といわれる人たちだ。
このバーを経営しているのが、山本 誠司さん。38歳。五年前、バー・アンベリールでの店内コンペを勝ち上がり、独立したお店だ。
短く整えられ、二つ分けにした髪型。目鼻が強調されたきりっとした顔立ち。バーテンダーというよりは、まるで仕事の出来るビジネスマンのようだ。
そしてここは、七星がバー・アンベリールに来る前に、半年だけ勤めていたお店でもある。
午前2時。俺と七星は山本さんのご好意で、閉店後のバー・ハイドアウトにお邪魔させてもらっていた。
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