9月 part 1

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「ここは有名人がたくさん来るからね。セキュリティーカードがないと入れないようにしてるんだ。 出入り口は5つあるし、監視カメラは30台もつけてあるよ。その上、店名や場所などの情報を公開してないんだ。ネットにも、メディアにもね。 タクシーの手配はもちろん、女性有名人がスキャンダルに巻き込まれないよう、女性スタッフが普通車で送迎するサービスもあるよ」  手厚すぎるサービスだ。感心して唸っていると、「だって、週刊誌に撮られるかもしれない、なんて心配してたら、おいしいお酒は飲めないでしょ」と山本さんは笑う。 「ここの値段の高さはね、秘密を守るためのお金なんだよ。秘密厳守料、とでも言えばいいのかな」  易しくていねいに教えてくれる山本さん。要点だけをかいつまんで説明してくれるあたり、この人の地頭のよさがうかがえる。  それもそのはず。この人は、たまたま入ったチェーン店の居酒屋で、ただのバイトでしかなかった七星の才能に気づき、この店に迎え入れたのだ。只者でない。  俺は、山本さんに作ってもらったカクテル『マンハッタン』を飲みながら、気になっていることを質問してみた。
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