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「…そういえば拓叶さん。2月の店内コンペって、具体的に何をやるんですか?」
七星の言葉に、オレは思わず、口にしていたカクテルを吹き出す。…ああっもったいない! せっかくの山本さんのマンハッタンが!
「おまえ…知らないで毎晩、俺に付き合って特訓してたのかよ⁉」
「だって僕、まだ入店して3ヶ月ですよ?」
…そうだった。こいつ、一応まだ新人だった。
俺は、指を折りながら説明する。
「店内コンペの課題は3つ。
1、スタンダードカクテル作成。
店のメニューの中から、オーナーが指定したものを作る。どのカクテルなのかは当日にならないと分からない。
2、創作カクテル。
オリジナルカクテルを、オーナーの目の前で作って試飲してもらう。公式の大会と違って、再現性があれば、縛りはあんまりない。
3、独立後の構想。
企画書をA4一枚にまとめ、独立した後、どんなバーにしたいか、オーナーにプレゼンするんだ。説明するときには、パソコンとプロジェクター使ってもいいし、もちろん口頭でもいい。
今日、山本さんに無理を言って、ここにお邪魔させてもらってるのは、カクテルの勉強のためでもあるけど、独立後の構想を練るためでもあるんだよ」
「へー」
へー、って。いや、おまえも5ヶ月後に店内コンペ参加するんだろ。準備しないといけないんだぞ。どんだけ呑気なんだ、七星のやつ。
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