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「そ、そういえば、ご馳走になったカクテルなんですけど。とってもおいしかったです。オリジナルカクテルですか?」
桐谷さんはカクテルをちらりと一瞥して答える。
「ああ、そのカクテルは、別にオレのオリジナルってわけじゃない。
『ロング・アイランド・アイスティー』って言ってな。
入ってんのは、ドライ・ジン15ml、ウォッカ15ml、ホワイト・ラム15ml、テキーラ15ml、ホワイトキュラソー15ml、レモンジュース15ml、シュガーシロップ小さじ1、それにコーラが適量。
すげえだろ。内容量の7割がスピリッツ(お酒)なのに、味はレモンティーなんだぜ。飲みやすいのに度数が高くて酔わせやすいから、レディー・キラーと呼ばれるカクテルだ。うちじゃ、よく注文される。
…それと、うち独自に入れてるもんがある。それが、『aphrodisiac(アフロディージアック)』」
ん?
そんな名前のスピリッツやリキュール、あったっけ?
聞いたことないな。
…なんか、頭がぼーっとしてきた。どうしたんだ、俺…。
「ああ、アフロディージアックってのはな、日本語で言うと、
…………………『媚薬』だ」
瞬間、視界がぐらりと揺らぎ、俺の意識は混濁した。
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