734人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
桐谷は無遠慮に顔を近づけ、耳元で囁く。
「なあ、『俺を犯してください』ってお願いしてみろよ。そのもどかしさから解放してやる。おまえが体験したことのないようなキモチイイこともしてやるからさ。そろそろ降参しろよ、拓叶」
ぞわっと悪寒が走った。だが確実に、悪寒の奥に快楽を望む気持ちが目覚めつつある。それを気取られないように、ぎっと強く睨んでやる。
「…気安く、俺の、名前を、呼んで、んじゃ、ねえよ…」
俺の息が乱れているのを好機ととったか、ふいに俺のズボンのホックが外され、ジッパーが下げられる。そして、桐谷の右手がズボンの中に滑り込む。
「う……っ」
ボクサーパンツの上から揉みこまれる刺激に、思わず腰が揺れる。
…身体が熱い。もどかしい。そんな刺激じゃ全然足りない。その刺激の先を想像して、身体が期待してしまっている。
もう駄目だ。限界だ。
身体が訴える。直接触って、優しく握りこんで、根元から竿の方まで何度もしごいて、そして…。
そして、この甘い監獄から解放してほしい、と。
頭の中が真っ白になる。理性が吹き飛ぶ。自分の中の性欲が叫ぶ声に、これ以上逆らえそうにない。
ぎゅっと目を閉じて、絞り出すように声を発した。
「おれ、を、犯して……」
最初のコメントを投稿しよう!