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扉を開けると、信じられない光景が広がっていた。
同じ階にあるスナックの立て看板が、脚が折れ曲がった状態で放り出されている。
共用廊下の観葉植物が、根っこまで見える状態で転がっている。白いタイル張りの廊下には、土が散乱している。陶器の植木鉢は割れていて、大小さまざまな破片が散らばっていた。
どうやら七星は、共同廊下にあった立て看板や観葉植物の植木鉢を、バーの扉に叩きつけていたらしい。バーの扉には、いくつも傷ができていた。
「…おい、…これ…」
呆然としている俺に向かって、七星ははあはあと荒い息を吐きながら言う。
「器物損壊で訴えられたら、受けてたちます。でも、向こうも警察に言えないようなことをしてたんでしょう。訴えられたりはしないですよ。大丈夫です。
…それより拓叶さん。ここから離れますよ」
七星は俺の腰を抱くようにして身体を支えながら、非常階段に向かった。
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