9月 part 3-4

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9月 part 3-4

 目覚めて最初に見たのは、手首に残る縄の跡。  自由になった右手で目をこすり、あたりを見回す。ベッドサイドのデジタル時計の表示は、9:37。…もう朝か。 「あ、拓叶さん。起きました?」  七星が近づいてきてベッドサイドに座り、俺の髪にそっと触れた。 「七星、おまえ、どうして昨日、あのバーに…」  俺の質問に、七星は少し苦い顔をして答える。 「僕、なんだか胸騒ぎがして。仕事終わって帰宅してから、ちょっと調べてみたんです。 あのバー、 普通にネット検索しただけだと、どこにでもあるバーのような紹介ページが出てきます。 でも、風俗の裏サイトでは、悪名高い有名店でした。女の子を持ち帰りたいなら絶対にココだって。そんなバーのオーナーが、拓叶さんにひとりで来いと言った。嫌な予感がして、タクシー飛ばして来たんです」 「そっか。…悪かったな」  左に視線を逸らして言う俺を見て、七星は自嘲気味に笑った。 「いえ、僕がもっと早く気づいていれば良かったんです。そうすれば、そもそもあんなバーには行かせませんでしたし。こちらこそ、すみません」
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