二章

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まあ、坂東が気にかけてくれているのは有り難い事だ。ウルシダは苦いコーヒを飲みながら来たる一週間後の事を想像した。 しかしウルシダにとって共同生活など未知の体験だ。想像したところで何も思いつかない。 それに気になる点が一つあった。共同生活の期間は一週間だ。この一週間という空白を大の大人がそう簡単に創り出せるものなのだろうか。 もちろん参加するメンバーがみんな社長やフリーランスで働いている人達で、ウルシダと同じく時間の融通が利くという可能性もある。 しかし、参加するメンバー全員がその可能性は極めて低いような気がした。みんな本来であればその一週間を対価に金を手にしていたであろう。それを捨ててまでパーティーに参加しようと思っているのだろう。 お金を取るか、出会いを取るか。悩ましい事だ。 まあ、ウルシダにとってこの一週間の空白は痛くも痒くも無い。何故なら、一年前から描いていた作品が必ず売れるからだ。その出来が良くても悪くてもだ。 貯蓄はあるし、一週間くらい何もしないでもまた絵を描けばいいだけの話。
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