二章

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一週間という時間はあっという間に経ち、本日は十月十日、A駅の中央改札口の前に予定より早い時刻についたウルシダは茫然と駅のホームから改札口へと流れ込んでくる乗客を眺めていた。 この一週間は長いようで短かった。ちょうど一週間前に美容室に行こうと張り切って家を出たものの、外から店内を見てお洒落な雰囲気や店員に圧倒され店にすら入らず帰ってきてしまった。 次の日は美容室が定休日だった為、ひたすら絵を描き続けたが、婚活パーティーの事が頭から離れず集中力は散漫し、とてもじゃないが売れる価値があるような作品にはならなかった。 その次の日こそはと思い、美容室の入り口まで足を進めたものの店内の奥にある鏡に映った自分の姿を見てこんな服装で店内に入っていいか疑問に思い、逃げる去るようにその場から離れてしまった。 次の日、美容室に行くにはまずそれなりの服装で行かなければならないと思い、先に服を買いに行く事にした。 家の近くにあるお洒落だと口コミで有名な店に行ったはいいが店員のファッションセンス溢れる洋服と自分の服を見比べて恥ずかしくなり店の前に設置されているマネキンだけを見てそのまま帰宅してしまった。
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