狂愛館の殺人

二章

その笑みは安堵からきたもののようにウルシダは感じた。

「楽しみですね。 僕こういうのは初めてなんで…… 」

「そうなんですね！ 私もなんですよ」

仲良く話す彼女と男を見てウルシダは悔しいと思いつつも二人は理想のカップルに見えた。

彼女の美しさに劣らず、男の容姿は整っていた。すらりとした体型に外国人と思ってしまうほどの身長。短くまとめた黒い髪が見るものに清潔感を与える。
眉は太く凛々しく、二重の目が特徴的だ。

同い年くらいであろう男はウルシダとは全く違うタイプの男でどこかその雰囲気は坂東に似ていた。

「あなたも初めてですか？ こういったパーティーは」
男はウルシダの方を見てそう言った。

「えっ、まぁそうですね」

無愛想に返事をした。