二章

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頭を上げると、その発言が不味かったと気づいた。二人とも表情を曇らせ、お互いに顔を見合っていた。困惑しているような雰囲気で二人はウルシダを見る。 正直、そんな反応が返ってくるとは思ってもいなかった。気の利いた発言をしたと思っていたが二人にとって名のる事は迷惑以外の何物でもなかったのだろうか。 しかし、名のる事がそんなに駄目な事なのだろうか。初対面ならば名を名のる事が普通なのではないだろうか。だが、二人の反応を見る限り普通ではないのだろう。 ある考えが頭をよぎった。これは婚活パーティーだ。婚活パーティーでは名前を名のらないのが普通なのかもしれない。こういった事に参加するのも初めてで、ルールをよく知らない。これが婚活パーティーの常識なのだ。ウルシダはその考えで納得をした。 そんな事を思っていると、二人の表情がまた明るくなり、穏やかになった。その二人の目線はウルシダの背後に向けられていた。 背後を振り返ると数人の男女がそこに立っていた。 「婚活パーティーの参加者ですね」
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