二章

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そう言ったのは目の前にいたスーツを着た男だった。背は同じくらいだったが、筋肉質で今にもスーツが張り裂けそうになっている。茶色く少し癖のある髪がデキる男を演出しているように思えた。 「はい。 そうです! 」 背後からさっきの男の声が聞こえた。 「皆さんお揃いですね。 ではご案内します。私、今回の婚活パーティーの見届け人を務めさせて頂きます大金(おおがね)と言います。 宜しくお願いします」 そう言い大金は深々と頭を下げた。大金を囲うように参加者が頭を下げる。 「では、私について来てください」 大金はそう言うと、参加者の円をかき分けて改札とは逆の方の構内の外へと歩いていった。 その後を参加者がついていく。ウルシダは最後尾にいた。 目の前には一番初めに顔を合わせた綺麗な彼女がいる。一列に並ぶ大人八人の後ろ姿がなんだか滑稽に見えた。 参加者の列を見て南野がいない事に気づいた。参加するかどうか分からないと言っていたみたいだが、どうやら不参加のようだ。
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