二章

21/24
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
まあ、その方がいい。不安の種は一つでも少ない方が良いに決まっている。 大金を先頭にした列は駅構内を抜け、近くの駐車場へと向かった。そこには大きなリムジンバスがあり、その先頭には株式会社・今日から愛しますご一行様と書いた張り紙が貼られていた。 「では、皆さまお乗りください」 大金がそう言うと同時にバスの乗車口が開く。ぞろぞろとバスに乗り込む。一番最後にバスに乗ると各々がバラバラになって座っていた。ちょうど一番後ろが開いていたのでそこに座った。 後ろからはよく全体が見渡せる。その様子を見て少し不自然に感じた。 初対面といえど、これから一週間一緒に生活していく、言わば仲間のようなものだ。 それなのは誰も隣同士で座っている人がいない。普通は親交を深めるために隣同士で座り世間話でもしてもいいような気がする。 しかし始めてこのような婚活パーティーに参加するのでこれも普通の事なのかとも思ってしまう。 「では皆さん、出発します。二時間ほどで着きますので」 大金は一番先頭のちょうど運転席の後ろに座っていた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!