二章

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程なくしてバスが停まった。辺りは山々に囲まれ、木々が生い茂っている。 「では、降りて下さい」 大金が立ち上がりそう言い、バスを降りていった。それに従い前列にいた人間からぞろぞろとバスを降りていく。空になった車内を見渡し、一番最後にバスを降りた。 「凄いですねぇ」 そう言ったのは二番目に顔を合わせた男だった。男は周囲の景色を見て目を丸くさせている。 確かに景色が良い。周りは緑豊かな自然に囲まれ、新緑の木々が生い茂り、小鳥の鳴き声が聞こえる。 空はどこまでも青く、天高く飛ぶ鳥達が悠々としていた。 そして数メートル先には予想よりはるかに大きい洋館がそびえ立っている。 「では、皆さまこちらです」 大金はそう言い、洋館の方へと歩いていった。その後を参加者達がぞろぞろと続く。 皆、あたりの景色を堪能している様子だった。 洋館に近づくにつれ、その姿が鮮明に映し出される。 洋風な赤レンガの壁にシンプルな窓がついてあり、屋根は澄み渡る深海の様に青い。 玄関口と思わしき大きな二枚扉の足元に大理石の様な物が施されていた。 扉の周りには丁寧で豪華な装飾。 まるでこの場所だけ異国の様な空間だった。
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