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そうか、居なくなるのか。
この先公があの学校から。
そんなこと言ってたな、そういや・・・
「・・・・・・・・・・・・」
なんだ俺。
こいつが居なくなるからって、どうしてショック受けてんだ?
自分だって卒業してもうあの場所に行くことはないのに・・・
「那須?どうしたの?」
「・・・・・・なんでもねぇよ、じゃあな。」
自分の思考がよく分からない。
分からないけどモヤモヤする。
こういう時は考えないのが一番だ。
そう思って、さっさと出ていこうと脚を踏み出す。
現れるのを待っていたくせに。
いざ現れると、急に現実を見せられた。
もう本当に関わりのない人間になる。
俺にもこの教師にも全く違う場所が新たに待っていて、交われていた:学校(とこ)には何も残らない。
それが『寂しい』なんて・・・・・・
そんなことあるわけない
「那須、待って」
店を出たところで腕を掴まれた。
「んだよ!離せよ!」
カッとした感情のままに、咄嗟にその手を振り払う。
何となく顔が見れなくて。
またあの日のように情けないところを見せたくなくて、顔を背けた。
だから気付かなかった。
この先公がニッと笑ったことも、腕を伸ばしてきたことにも。
「ほんと・・・犬みたいなクセに、犬ほど素直じゃないんだから。」
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