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なのに、あの変なヤツが現れた。
『犬と間違えた』
初めて他人から頭を撫でられてカッとした俺に笑ってそう言った。
それから、何かと関わってくる変な教師。
柔らかく笑ったかと思えば、次の日には厳しく叱責された。
裏庭でサボっていれば『風邪引いて休むより良いでしょ』と毛布を投げて寄越した。
『・・・・・・普通授業に出ろって言うだろ』
思わぬ行動に呆気にとられていれば
『そう?ま、気が向いたら出なよ。案外真面目に受けたら面白いよ、授業も』
カラカラと笑いながらその場を去っていった。
熱血な訳でも、かといって放任な訳でもない。
独特の雰囲気。
いつも笑顔で、他の生徒からはアダ名なんかつけられてて、自然と生徒に囲まれている。
苦手だと思った。
関わってくるのがウザいと思った。
なのに、気付けばどっかにいるんじゃないかと探している自分がいて。
声が聴こえたら無意識に視線を向けてしまっていた。
そんな自分が信じられなくて、バカみたいで。
わざと突っぱねては悪態を吐いた。
その度に『どうどう』と言われたけど・・・てか、動物扱いかよ。
それでもそんな扱いも気分は悪くなくて・・・
何だかんだギリギリ卒業できたあの日、何となく教室に残ってボーッとしていた。
来るような気がした。
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