教師

2/3
前へ
/12ページ
次へ
なのに、あの変なヤツが現れた。 『犬と間違えた』 初めて他人から頭を撫でられてカッとした俺に笑ってそう言った。 それから、何かと関わってくる変な教師。 柔らかく笑ったかと思えば、次の日には厳しく叱責された。 裏庭でサボっていれば『風邪引いて休むより良いでしょ』と毛布を投げて寄越した。 『・・・・・・普通授業に出ろって言うだろ』 思わぬ行動に呆気にとられていれば 『そう?ま、気が向いたら出なよ。案外真面目に受けたら面白いよ、授業も』 カラカラと笑いながらその場を去っていった。 熱血な訳でも、かといって放任な訳でもない。 独特の雰囲気。 いつも笑顔で、他の生徒からはアダ名なんかつけられてて、自然と生徒に囲まれている。 苦手だと思った。 関わってくるのがウザいと思った。 なのに、気付けばどっかにいるんじゃないかと探している自分がいて。 声が聴こえたら無意識に視線を向けてしまっていた。 そんな自分が信じられなくて、バカみたいで。 わざと突っぱねては悪態を吐いた。 その度に『どうどう』と言われたけど・・・てか、動物扱いかよ。 それでもそんな扱いも気分は悪くなくて・・・ 何だかんだギリギリ卒業できたあの日、何となく教室に残ってボーッとしていた。 来るような気がした。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加