教師

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教師

「いらっしゃいませ」 何度目か分からない来店客を迎える店員の声。 腕時計を確認して小さくため息を吐いた。 何やってんだ、俺。 かれこれ一時間半。 コンビニのイートインを陣取って外を睨んでいる。 もしかしたら通るかもしれない。 休日にこのコンビニ近くで犬の散歩をしているアイツと偶然あった。 あの日と同じ時間帯、同じ道。 確率としては悪くないハズだ。 ・・・通らないかも知れないけど。 てか、こんだけここにいて通らないんだから、別に散歩コースってわけじゃないのかもしれない。 そこまで考えて冷めきったウーロン茶を一気に飲み干した。 アホらしい。 何やってんだろ、俺。 『卒業おめでとう。これで僕の手を離れるね、君は』 卒業式の日、別に待ち合わせていないのに現れた先公。 別に卒業することに感動した訳じゃない。 思い出が甦って寂しかったのでもない。 なのに微笑むアイツを見たら喉がグッと苦しくなった。 どちらかというとさっさと卒業したかった。 素行が悪いと教師達からは目の敵にされていたし、数人のダチ以外は俺のことを怖がるか、ケンカを吹っ掛けてくるかだったし。 一人で居る時間が楽だった。 くそつまんねぇ授業をサボって、ボーッと過ごすのが好きだった。     
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