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黒檀のテーブルに、肋骨で組まれた細工椅子があり、その横に人間皮張りソファーがある。
そこに座り、足をプラプラさせている小さな少女と、書類を並べるスーツの男性がいた。
「ではこちらにサインをお願いします」
書類の下部に署名欄がある。
悪魔財団法人 賃貸ダンジョン斡旋協会 ブロンコ不動産
エルサルバドル パルプト ブルボン
「わかったのじゃ、ペンを貸せぃ」
ロニセラ
小さな少女はそう記すと、書面から紫色の渦が湧き上がり、ボウッと燃えた。
「ご契約ありがとうございます、ロニセラ様」
「うむ、今後ともよろしくなのじゃ」
***
小さな体に2本のツノ頭、深紅のローブに背負った巨大両刃斧の少女は、名をロニセラという。
今回初めてダンジョンをもつ初心者魔王だ。今回ブロンコ不動産に来たのは4回目。従業員から「ヤダヤダ娘」というあだ名をつけられていた。
「今回より新しく担当させていただきます、エルサルバドルと申します。では、条件に見合う物件を探しますので、いくつかの質問にお答えください」
「どんとこいなのじゃ」
ロニセラはソファにもたれかかると、足を組み、薄っらと笑った。
「二段ジャンプはできますか?」
「のじゃ?……」
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