3章 悪魔の力量

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課金勇者 とある城下町、その酒場に、札がさがっている。 【冒険者の仲間紹介します】 真昼間だというのにその酒場には活気があふれていた。 鎧や剣を装備した老若男女が掲示板の前や受付の前に群がり、テーブルでは4人から8人の大小のグループが何やら話をしている。 奇妙なのは、そこにいる誰も酒を飲んでいないし、卓上に料理がない事だった。 受付の横には簡素な長テーブルがあり、その上にウォーターサーバーのような機械が設置されている。よくみるとそれは、小型自動販売機カプセルトイだった。 1人の男がそのガチャに綺麗な石を投入し、カプセルトイ上部にある電子画面をタップすると、演出画面が再生されて、すぐ横の魔法陣のスペースに、法衣を纏った男が輝きながら現れる。 「まったく、仲間ガチャもハズレばっかりだぜ、いらねー」 男は大声で不満を露わにした。 「待ってください勇者様、私は鍛えてくださればきっと強くなります!いえ、強くなってみせます!!」 「レアはいらねーんだよなあ、最低でもスーパーレア以上じゃないと話になんねーんだよ、お前、合成素材にしてやるよ」 「そんな、それだけは!うわぁーーーー」 魔道士はカードに変えられ、勇者と呼ばれた男の装備に吸収され消滅した。 「ったく、なんにもねー荒野に白ブリーフ一丁で放り出された時は恨んだけど、今やここまで強くなったしなあ」 勇者の装備は全てキラキラと輝いており、うっすらと虹色にグラデーションがかかっている。 「ん?なになに、課金アイテムで性別変更キャンペーンだって!?」 勇者が掲示板で見つけたその張り紙には【教会にて期間限定ガチャイベント開催!】とある。 「こりゃ行くしかねえ!美少女にアバター変更だ!ついでに名前も、もっとかっこいいものに変更するぜ!!」
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