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「現金輸送連続強奪事件が、今月に入ってもう4回目、この手口、完全に輸送ルートを熟知している」
「やっぱり、伝説の勇者かねー。もうそんな時期か」
ブロンコ不動産では、机の上に大きな地図を広げ、ブロンコ氏とエルサルバドルが話をしている。
「200年に一度現れる英雄中の英雄、神の祝福を受け、天使と同等の力を授かっている人間ですか」
「でもさー、現金輸送を任せているのはとろけるメタル一族だよ、いくら勇者が祝福を受けてるとはいえ信じられない」
「ええ、素早さも防御力も悪魔より優れている。戦うことより逃げることを優先する、そんな彼らが4度も敗れるとなると、この勇者」
「完全にレベリングしてるよねー」
「そうでしょうね、このまま放置すると、ここ一帯全てのダンジョンがやられて人間たちの手に堕ちてしまいます。一度その勇者とやらの実力を下見して、対策を立てましょう」
「じゃー早速エルくん、この被害にあった子を保護してきてほしいんだ」
「え?」
「ほら、僕、ここから動けないし」
「は?」
「は?じゃなくてさ、めっちゃ強い勇者もどこにいるかわからないし」
「コピーを行かせればいいでしょう、この前みたいな分身を」
「あれねー、量も強さも自分じゃ調節できない仕様で」
「なんですか仕様って、わかりましたよ」
「うん、ありがとう、彼ら一族の生息地は通常じゃ行けれない場所にあるんだ、外の飛龍を使っておくれよ」
「では、帰ってきたらコーヒーお願いしますね、ブレンドではなく、ゲイシャ種をサイフォン式で」
そう言い残すとエルサルバドルは出かけていった。
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