5章 伝説の勇者

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「お前になんか渡さないにゃー」 「まて!早まるな!ピコ!!」 ピコという名の猫耳娘が間合いを一気に詰めて掌底を放つと、そこにロニセラの姿はなかった。 ブオンッ、という風切音がしたかと思うと、幾重にも光の筋がきらめき、血液を流すことなくピコの体はバラバラになった。 「わらわの前では、この程度朝飯前なのじゃ」 「プッコは支援に徹しろ!奴と俺の間合いには決して入るな!」 「ぴょん!」 うさぎ忍者プッコは、背景と姿を同化させて見えなくなった。 「戦いの基本は、そうじゃ、まず数を減らすことじゃったな」 「なにをぶつぶつ言っている!くらえ!!〈インフィニティスパーク〉!!!」 勇者たかしがそう叫ぶと、稲妻が洞窟内を駆け巡り、電流がそこら中に広がった。 「人間にしてはいい魔法を使うのじゃ、じゃがのう、その魔法は、こうやったほうがいいと思うんじゃ」 そうロニセラは言うと、両手を前に伸ばすと、おもいきり魔力を放った。 電撃の束が柱となって牢獄のように勇者たちを覆い、それは一箇所に収縮し壁になったかと思うと、高電圧の回避不可魔法としてたかし達を襲う。 マントから姿を表した勇者は、傷がなかったが、少し離れたところに、プッコと呼ばれていた獣人の死体が黒焦げになって転がっている。 「蘇生魔法!!」 たかしがそう叫ぶと、プッコが蘇り、また、コマ切れになっていたピコという名の猫モンクも復活した。 「生き返らせるのは勝手じゃけども、また巻き添えで痛い目に会うのはこの小娘たちじゃぞ」 「うるさいぴょん!」 「そうだにゃ!!」 ピコはバックステップで飛び退くと、回復魔法を唱え、全員を回復させた。 「そうじゃのー、あんまり気ノリしないんじゃが」 ロニセラはそう言って、斧を振りかざし、魔力を込める、すると斧が3倍ほどの大きさになり、それを振りかぶったかと思うと、目に見えないほどの速さで地面に叩きつけた。
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