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《ガーディアンズⅣ Lay your hands on me》
もう何週間かでも早くワクチンが出来ていて、すべての街に行き渡っていれば、ランブルはまだこの世界にいられたのだろうか。そう考えると少し可哀想になってくる。
ふと横を見るとランブルとタキが立っていた。
ランブルは自分の写真を見ながら語る。
「シルヴァの考えていること、判りますよ。でもいいんです。この世界は少しでも足を踏み外したら終わりな世界。あたしの事も三ヶ月も過ぎれば皆忘れます。次の世代に取って代わられます。そう言うところなんです。あたしはこの街に来られた事がとても嬉しくてしょうがありません。あたしの知らない事ばかり。偏光装置もそう。驚きの連続です。あたしにはここの方が合っているのかもしれません」
「そっか。それなら良かった。買い物はもういいの?」
「ええ。適当に選んで買いました。帰りましょう」
店を出て車まで歩く。
「良かった。車で来てくれたの?」
「うん、来たって言うか帰って来たとこ」
「あ、仕事行ってたんだっけ」
ふと立ち止まる。ランブルがいない。振り返ると何か見つめているようだ。
戻ってみると、宝石店だった。私がヒロにピアスを買って貰ったお店。
「どうしたの?」
「……うん。みーんな家に置いてきちゃったなぁって思って……」
両手は塞がっているから、肩でランブルの背中を押す。
「なんでも買ってあげる。新しい生活のお祝い」
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