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まず何からするのだろうかと、見ていると、公園のベンチに腰掛け、リングを耳に当てた。数分後、中年の男性が現れて、プレスキールキットの隣に座る。子供の写真かなにかを見せるのだろうな。あたしも見たいな。
なんとかしてのぞける場所を探すが何もない。しょうがない。堂々と見るか。
彼女達の座っているベンチの後ろを通り過ぎざま、ちらっとだけ眺める。オーケー。これで判った。十六歳前後の女の子。髪はセミロングで緑系に染めている。毛先が少し巻いてあった。あの髪じゃ結構目立つぞ。
すぐ隣のベンチに腰掛ける。時計を見て誰かを待っているようなそぶりを見せる。が、必要無かったかもしれない。プレスキールキットはあたしに無警戒だ。
耳を澄ますまでもなく、すべての会話が聞こえてくる。ここまでは落第点だな。
話を要すると、この街中で身代金の受け渡しを行うとの事だ。
プレスキールキットは男から離れてあたしとは反対側のベンチに座った。娘の身柄確保はどうなっているのだろう? まさかこの場所で堂々とやるとは思えない。
と、男のリングが鳴った。少し音量を上げてくれたのが幸いだ。プレスキールキットが指示したのかもしれない。
「今どこにいる?」
「コンシェルの公園にいる」
「両隣のベンチに女が座っているか?」
男があたしとプレスキールキットを見て応えた。
「そうだ」
「正面にゴミ箱が見えるだろう? そこへ金を入れろ」
「娘はどうなる?」
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