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 昨日から天気予報では台風の接近を知らせていたが、休校の知らせはなく、明空は仕方なく学校へ行く準備を始める。 「明空、今日は自転車はやめておけよ。ハンドルを取られたら危ない」 「分かった。父さんも仕事?」 「社会人になると、なかなか休めないんだよなあ」 「俺らだって休校にならないと休めないよ」 「そりゃそうか。もう台風の時は休み!って政令か何かで決めてくれればいいのにな」  小学生のような言い分だ。  でも確かにそう思う。 「気をつけてな。海には近づくなよ」 「うん。父さんもね」  玄関を出ようとすると、母が見送りに出てきた。 「二人とも、待って。はいお弁当。気をつけてね。風も強くなってきてるから」 「ああ、ありがとう。行ってくるよ」 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」  心配そうな母に見送られ、明空と父は互いに手を上げて反対方向に歩き出した。  学校は高台にあり、坂道を三つほど折り返す、運動部のトレーニングにはもってこいだが通学には迷惑な立地にあった。     
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