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「…君のいう信仰は」
「偶像崇拝ですよ」
間髪入れずに答えた少年は、かりかりと?をかいた。
不健康な土気色の肌に、月の光が反射する。
「僕が神を信じてさえいればそれでいい。
民衆は、僕を信じることによって神にその身を捧げるのです」
ははっと高笑いを一つした少年は、ぐるりと部屋を見渡した。
「この部屋の奥に、光玉というものがあります。
もう貴方は感づいているかもしれませんが、その神の遺物を用いて僕は人々を洗脳している。
僕がどうして洗脳なんて汚い手を使っているわけを、話してあげましょうか?」
まるでアウルオンの返事を待たず、少年はその場で話し始める。
過去を懐かしむような、それでいて憎しみに身を焦がすような表情で、少年は口を開いた。
「なぜ僕が、偶像なんぞに成り下がったかを」
○
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