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「大司教様!」
足をもつれさせ、慌てながら祭司が部屋に入ってきた。
「早く、お休みになってください」
手を貸そうとする祭司を押し止め、少年はアウルオンに向き合う。
額には脂汗が浮かび、ひゅうひゅうと呼吸の音が部屋に響く中、少年は高らかに叫んだ。
「待ちましょう!信じるか否か、貴方は大いに迷うといい。
貴方自身の答えが出るまで、僕は待ちましょう!」
それをわが国民の意思としましょう、と。
掠れた声でなおも笑う。
祭司が少年を部屋から連れ出そうと扉へ向かう。
アウルオンからは引きずられる少年の背が、酷く小さく見えた。
「君は、君はその答えを聞けば、止まってくれるのか」
哀れみにも似た響きを持つそんな言葉に、少年は束の間立ち止まる。
そして、アウルオンの方へは顔も向けぬまま、ぼそりとか細い声が冷たい夜に落とされた。
「無理ですよ」
僕はもう、迷えない
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