二章【真面目な仕事精神で】

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〇〇〇〇 「はー。こんな風になってんやー」 神殿内の作りに、カルシンは感嘆のため息を吐いた。 たしかに、白を基調にした天井や整えられた床、細やかに細工を施した柱などはスャムの経験上一番と言って良い美しさだ。 「せや、俺こっから道わからんから」 「そうか。なら、どうする」 即座に答えるスャムに、カルシンは呆れてこうべを垂れた。 「そんな頼られても困るんやけど…。 もうちょい頭使われへんの?お前。腐っても密偵やろが」 「だって、俺が考えるよりお前が考えた方が効率がいいだろ。 俺は体を使う。お前は頭を使え」 「人にものを頼む態度ってもんが…」 スャムの無茶苦茶な理論に反論しようと、カルシンが口を開いたその時、ぎいっと扉が開く音がした。
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