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「いらっしゃいませ。」
午後11時、3次会とおぼしき酔客がクラブのドアを開けると、早速クラークが笑顔を振りまく。
北出みゆきがいなくなって、客の顔を覚えているクラークがいなくなったのは痛かったが、1ヶ月もすれば対応は慣れたものだ。
「ご案内します。」
ボーイが呼ばれ、奥の席へ3人を案内する。
「なんだか、雰囲気変わったよね。」
客の一人がボーイに話しかけた。常連なんだろう。
「はい、オーナーが変わりましたもので。」
ボーイの対応はそつなかった。
実際店内はやや暗めに照度設定され、温度も高め。ホステスたちは薄手の露出の激しいドレスで対応する。
早々にボトルが運ばれてきたが、すでに管理などしていなかった。酒のボトルも2種類しか置いていない。ウィスキーか焼酎だ。どっちかを持ってくれば済む。
「ご指名はございますか。」
「ミカちゃんをお願いします。」
サラリーマン氏が答える。
「申し訳ございません。ミカは退店致しまして・・・。」
「そうなの? じゃあ、可愛い子を頼むよ。」
「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ。」
ボーイがそう言って下がると同時に女性が一人席に着く。
「いらっしゃいませ。くるみです。宜しくお願いします。」
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