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「それもないでしょ。どこで殺されたのか分からないけど、ここへ運び込む説明が付かない。あとは、毒殺とかだが、見たところ毒殺とは思えないし。まあ司法解剖待ちだな。」
「とにかく、あの警備員に詳しく話を聞こう。」
「どこ行ったんだ?」
その時、救急隊員が警備員に連れられて入ってきた。が、彼らはそのまま帰路に着くことになる。鑑識課の到着を待って実況検分が始まったのは午前1時少し前だった。
その間に機捜201コンビは2号館の地下、1階、2階の全室を確認、どこにも凶行の痕跡は発見されなかった。エレベーター全機の確認を終え、更に上層階での犯行はあり得ないと思われた。
「ミコ、白けるじゃねえか。飲めよ。」
水上翔太はそう言うと安野美枝子に酒を勧める。今度のグラスはアルコール40度のウォッカだ。しかもロック。
「でも~。」
安野美枝子は助けを求めるように斜め向かいでブランデーグラスを温める神島隆一を見た。が、神島は美枝子には全く興味なしと言った風情だ。
神島が遅れて合流してからまだ10分と経っていない。
「隆一ィ~。」
神島は甘ったるい美枝子の声を無視してグラスを傾けた。
「ほら、神島さんも飲んでるんだ、お前も飲めよ。」
神島はまだ来たばかりだが、美枝子はすでに2時間あまりも飲み続けている。潰れるのは時間の問題だった。
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