23人が本棚に入れています
本棚に追加
死んだ男に近づくとマリーは心臓に食い込んだ杭を握った。杭が心臓を貫いていることを確信できた。力を込めると男の身体がズルリと仰向けに転がった。苦悶の表情のまま凍り付いた男の顔。
「こ、これは!」
「え? どうして? 神島はどこ?」
蘭とマリーは激しく狼狽した。杭に心臓を貫かれて死んでいた男は神島隆一ではなかったのだ。
「こいつは、そうだ、水上翔太。」
「水上翔太? どうして? ランさん。」
「くそっ、影武者だったか・・・。」
ふたりの女は水上の骸を前に立ちすくんだ。水上はやがて身体中の血液が蒸発し、干涸らびていった・・・。
「管理官。全員揃いました。」
「早瀬さん、うちは私と腕の立つ3人を助っ人に提供します。雑魚はいてもしょうがない。」
「助かる。残念だが店は休みのようだ、コーヒーはまた後と言うことで。」
警官10人とヤクザ4人は3方に別れて六本木ヒルズ住居棟へ向かった。
「どうします? 管理官。」
「どうもこうもない。もう時間がないんだ。高速エレベーターで29階へ上がるしかないだろう。見つかったら見つかったまでだ。」
早瀬の指示で一行はエレベーターで一気に29階を目指した。
「護衛とかいないんですかね?」
「秘密のアジトだ。たぶん誰もいないと思う。」
「私も同感です。この場所は神島にも言ってないでしょう。正に秘密の部屋。」
大島が言った。
最初のコメントを投稿しよう!