第15章 六本木ドラキュラ城

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死んだ男に近づくとマリーは心臓に食い込んだ杭を握った。杭が心臓を貫いていることを確信できた。力を込めると男の身体がズルリと仰向けに転がった。苦悶の表情のまま凍り付いた男の顔。 「こ、これは!」 「え? どうして? 神島はどこ?」  蘭とマリーは激しく狼狽した。杭に心臓を貫かれて死んでいた男は神島隆一ではなかったのだ。 「こいつは、そうだ、水上翔太。」 「水上翔太? どうして? ランさん。」 「くそっ、影武者だったか・・・。」  ふたりの女は水上の骸を前に立ちすくんだ。水上はやがて身体中の血液が蒸発し、干涸らびていった・・・。 「管理官。全員揃いました。」 「早瀬さん、うちは私と腕の立つ3人を助っ人に提供します。雑魚はいてもしょうがない。」 「助かる。残念だが店は休みのようだ、コーヒーはまた後と言うことで。」 警官10人とヤクザ4人は3方に別れて六本木ヒルズ住居棟へ向かった。 「どうします? 管理官。」 「どうもこうもない。もう時間がないんだ。高速エレベーターで29階へ上がるしかないだろう。見つかったら見つかったまでだ。」 早瀬の指示で一行はエレベーターで一気に29階を目指した。 「護衛とかいないんですかね?」 「秘密のアジトだ。たぶん誰もいないと思う。」 「私も同感です。この場所は神島にも言ってないでしょう。正に秘密の部屋。」 大島が言った。     
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