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一同は拳銃を取り出すとゆっくりとドアを開けて内部に侵入した。内部は贅を尽くした造りだった。1階玄関から続くホールから螺旋階段がメゾネットの2階へ延びていた。床も階段も大理石貼りだ。警官たちはゆっくりと散開、ヤクザのふたりは後方から着いて行く。
その時、2階で物音がした。
「2階だ。」
早瀬が先頭に立って螺旋階段を上る。見上げた先に水上がいた。
「待て、水上!」
早瀬たちが一斉に階段を駆け上がる。水上は奥の部屋へ姿を消した。第2ベッドルームのようだ。内鍵が掛かっており開けることが出来ない。だが、もはや水上は袋のネズミだった。ここからどこかへ通じる通路はない。
「よし。これだ。」
早瀬が拳銃を構える。ドアの鍵に向けて銃弾を発射した。
ガン!
そしてドアが開く。
「水上!」
が、そこに水上の姿はなかった。
「いないはずはない。探せ。」
「うわ~っ!」
その時奥の洗面所から水上らしき男の悲鳴が聞こえた。
そして首から激しく出血させた男がよろよろと出てくるとベッドの脇に置いてあった棺桶に転がり込んだのだった。洋風の頭部が少し広くなった置き時計型の棺桶だった。そして棺桶の蓋を中からバタンと閉じてしまった。
「何い!? 水上じゃないぞ。」
早瀬が叫んだ。蓋を閉じる瞬間、ほんの少し顔を上げた男を見たのだ。洗面所から出てくる男は顔を伏せ血の蒸気を噴き出していた。その姿に顔を確認することは出来なかったが、今度ははっきりと顔を見ることが出来た。
「私も見ました。」
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