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香西はビジネス棟47階を吹き飛ばした残りのプラスティック爆弾のきっちり1/8を切り取って棺桶に貼り着けた。もうひとりが信管をセットし無線の起爆装置を準備した。
「このボタンで爆破できます。予備の装置があって良かった。なければ、誰かが犠牲になってここで爆破しなくちゃならなかった。」
香西が起爆装置を早瀬に渡す。受け取った早瀬の掌はじっとりと汗で湿っていた。
「死んだ部下たちのため、SIT、機動隊の諸君らのため、そして機捜201阿木の仇だ!」
らしからぬことを呟く早瀬。
そのころ一戸一戸を訪問待避させていた警官から待避完了の報告が来た。結局人間がいたのは下階に2つだけだった。家族もおり合計9人が一旦別フロアに避難した。
「爆破10秒前。」
早瀬が無線に宣言した。
「行こう。9・8・・・、」
早瀬、香西、大島の他ふたりの警官と大島一家の中条が螺旋階段を駆け下りると玄関を飛び出した。
「6・5・4・・・、」
そして数メートル離れたエレベーターホールへ全員が身を隠した。
「3・2・1」
早瀬が起爆装置を起動させた。
ボン! ドガガーン!
水上の部屋で大きな爆発が起こった。爆風は窓のない2階寝室の中を渦巻き、ドアを吹き飛ばして、階下の窓ガラスを粉々にした。ヒルズが振動し、やがて焦臭い匂いが辺りを包んだ。
「神島は、神島はどうなった?」
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