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神島さんが呼んでるというので政治経済研究会とは名ばかりのこのナンパサークルに参加した。ところが神島はおらず、田中浩二、斎田俊夫、水上翔太の3人と飲み続けることになった。
「ミコ、いい飲みっぷり!」
美枝子がグラスを煽ると斎田が頭上で手を叩く。目は美枝子のワンピースの胸元を凝視していた。ヤバいなあ、と思う美枝子。だが、40度のアルコールがその警戒心も溶かしていく。
「神島さん、ずいぶん遅かったけど何かあったんですか?」
3人の中では一番格の田中浩二が聞いた。
「うん、ちょっとね。トラブっちゃって時間食っちゃったよ。」
神島がにっこり笑って田中を見た。
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。ご理解いただけたから。」
「東光大学なんて三流の私大が偉そうに言うなってんですよね。」
田中の追従に笑みを浮かべると、
「今夜は楽しくやろうよ。遅れたお詫びはするからさ。」
遠くで微笑む神島の顔を見て美枝子は穏やかに酔い潰れた。
「で、権藤検視官殿の見立ては?」
「分からん。」
「おいおい、分からんはないでしょ。」
東光大学西新宿キャンパスには端へ追いやられた機捜201覆面の他新宿西署刑事課、鑑識係、検視官らが集合、昼間のような賑わいとなっていた。
「このナイフの他外傷はない。致命傷はナイフだ、と思う。」
「思う?」
阿木が怪訝そうに問う。
「出血が少ないんだよなあ~。」
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