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気が遠くなるような感覚の一方で快楽の感覚は鋭敏さを増し悠里の自我は消失した。神島は血管を刺し貫き、中を流れる命の勢いに興奮していた。
「桃子さん、私そんなことは・・・。」
研究会が用意した部屋でさっきまでシャンパンを飲んでいた東光大講師の梶原桃子が岡部桜子に迫った。
「いいのよ。あたしに任せておきなさい。」
「いえ、いいんです。結構です。私、私、帰りますから。」
桜子が部屋を出ようとする。
「悪かったわ。悪かったから、さあ折角のシャンパンを飲みましょう。」
梶原が桜子の手を引く。頭では速くここを離れた方がいいと理解していたが、逃れられない自分がいることも分かっていた。
「桜子さん、私と同じなのよね。」
「え?」
「最近の言葉で言えばLGBT。まあ、簡単に言っちゃうとレズビアン。」
核心を突かれて桜子は狼狽する。
「わたし・・・。」
「自分がそうだと気がついたのは高校生くらいだったかな。女友達がみんな興奮してる野球部の主将にね、私全然興味がわかなかったの。」
「私も同じです。私は女子校だったので、普通に先輩に憧れる子はたくさんいたし。」
「そうなの。桜子さん、自由党の本部で働いてらっしゃるのよね。」
「ええ。実は言い寄ってくる議員さんもいるんですけど、私ダメなんです。気持ち悪くて。それで自覚したというか・・・。」
「そうなんだ。苦しかったわね。」
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