第3章 千里眼(前)

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 抗う桜子に力はない。声さえも張れない自分がいた。両足を持ち上げられ、最後の一枚をめくり上げられる。桜子の生殖器と排泄器が露わになった。桃子の唇がその2つに吸い付いた。 「あああ・・・。」 歓喜の声を上げる桜子。桜子の陰液を吸い上げるだけ吸い上げると、桃子は桜子のショーツを剥ぎ取り桜子の股を割ってのし掛かった。自分を嘗め回した唇で口づけされる桜子。  そして桃子の唇は桜子の首筋へと這う。恍惚とした桜子を横目に梶原桃子の瞳が光る。 そして上顎の犬歯が長く伸びた。カッと口を開いたかと思うと、桜子の柔らかい首に食らいついた。 「ひい!」 一瞬小さな叫び声を上げる桜子だったが、激しい快楽とともに桃子を両腕両脚で抱きしめていた。 「じゃあ、行くわよ。神島さんが待ってるから。」  身支度を調えた桃子がまだベットにいる桜子に言う。 「いい? 今度は私のを舐めるのよ。」 「はい。桃子お姉様。今度は私に桃子お姉様を舐めさせてください。」 抑揚のない声でそう桃子は言うと眠りに落ちた。 「また今度ね。楽しみにしてるわ。今はおやすみなさい。」 桃子はひとり部屋を出ると、展望エレベーターを降りていった。     穐本泰之の行方はようとして知れなかった。いったいルポライターはどこへ消えたのか。ふらふらと麻布中央署を出て行った穐本だったが、麻布の裏通りで夜陰に紛れてしまったのだ。     
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