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第4章 千里眼(後)
六本木の街は狭い、近隣の赤坂や麻布、青山まで含めても一周するのに30分と掛からない。何通りかの道順で慎重に3回流したが、これといった異変は見つからなかった。街は相変わらずの喧噪だ。
「だめだな。」
「ああ。車で流していても何も見付けられない。」
「どうだろう、今度早瀬さんを誘って情報集めをしてみては。」
「そうだな、早瀬さんならいい店も知ってるだろうし。俺たちじゃ無理だ。」
機捜201の二人は麻布中央署へも立ち寄ってみたが、ルポライター事件も進展がないようだった。
その後、二人は麻布十番の例の女子高生のマンションに車を着けた。
「あそこだ。明かりが点いている。いるな。」
阿木がゆっくりと車を路肩へ停めながら言う。
「行ってみよう。」
阿木と生澤はマンションの玄関を入る。オートロックだ。生澤が郵便受けを確認する。
「303」
「どちら様ですか?」
インターホンから応答があった。どうやら母親の方らしい。
「警視庁の阿木という者ですが、少々お話をさせてください。」
しばらくの沈黙の後、
「お入りください。」
そう言ってドアが開いた。二人はエレベーターに乗り込むと3階のボタンを押した。
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