23人が本棚に入れています
本棚に追加
流れる汗を拭きながら阿木がバディの生澤に聞く。
「このビルに残ってると思うか?」
「いないだろうな。」
「そういうことだよ。」
東光大学西新宿キャンパス2号館の玄関を出たふたりはそのまま現場を離れた。
そして覆面の中。
「ビル狩りって何だよ? 山狩りの変形活用ってか。」
「俺たちの仕事じゃねえよ。」
阿木は再びハンドルを握り管内を流し始めた。
「歌舞伎町へ行こう。」
「ラジャー。」
生澤の提案に阿木は靖国通りに向けてハンドルを切った。
さっきまでの喧噪が嘘のような中目黒、水上翔太のマンション。名義は父親で水上が一人で住んでいる。
政治経済研究会の部室的な場所だった。そこへ酔いつぶれた美枝子が運び込まれていた。
「今日は会合に遅れてしまって済まなかったね。こいつは私からのお詫びの印だ。好きなようにして貰っていいよ。」
神島がカーペットに横たわる安野美枝子を蔑むような目で見下ろす。
「いいんですか? 神島さん。」
「ああ、構わないよ。タダやって終わりじゃつまらない。色々楽しんじゃってよ。」
3人は好色そうに微笑む。神島に人身御供にされた美枝子は何も知らず寝入っている。
「で、東光大の経済研の連中はどうするんですか?」
田中が神島に問いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!