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「それは北出君のお兄さんの影響かな?」
「え?」
「知ってるでしょ? 北出君のお姉さんの結婚相手。」
「え、あの・・・。」
「大方調べてあるんでしょ? 高校生をからかっちゃいけませんわ。」
言いよどむマリーを見て、テレジアが割り込んだ。
「北出君のお姉さんは六本木でホステスをしていた子で、一昨年と言ってたっけ、結婚したと。そのお相手が京浜連合のメンバーとか。北出君はその義理のお兄さんとも親しいと言うことですよね。」
テレジアが答える。阿木がテレジアに向き合うと、こう切り出した。
「分かりました。小細工はよしましょう。私たちは情報が欲しい、それだけです。お嬢さんが事件に係わっているとか、そんなことは考えていません。ただ、あの事件の犯人がまだ捕まっていない。我々は犯人を追っているだけです。」
おもむろに生澤が1枚の写真を取り出す。
「店内でこの人を見掛けましたか?」
写真は神島隆一だった。雑誌からの複写のような写真だ。マリーの顔色が変わる。
「いたんだね?」
静かに頷くマリー。
『この人達はこの男の正体を知らない。この男が警察にマークされればチャンスが出てくるかも知れない。私たちにとって有利になる。』
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