第4章 千里眼(後)

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 マリーの心の中に母の声が聞こえた。これが超能力なのか、それはマリーにも分からない。この件についても母は何も説明してくれないのだ。が、たまに母はマリーの心に直接話しかけてくることがある。 『顔色を読まれないように話を合わせなさい。』  不思議なことにマリーから母へ語りかけることは出来なかった。会話は出来ないのだ。ただ、母の声を聞くだけである。 「この人、見掛けたの?」 とテレジア。 「うん。奥のテーブルにいた。格好良かったから覚えてる。素敵なスーツ姿だったわ。」 「誰かと一緒だった?」 「はい、男性2人と一緒でした。」 「その人達はどんな人だったの?」 テレジアがマリーへの尋問に加わる。 「あのね、30過ぎぐらいのやっぱりスーツを着てる人たちだった。」 「何か話は聞こえた?」 不安そうにマリーはテレジアの顔を見る。 「何か聞こえたの?」 マリーは首を振った。 「ほんとに? 他に何も見なかった?」 これはテレジアだ。 「あ、テーブルの上に週刊誌が乗ってたわ。どこかのページが開かれていて、見てた。」 「週刊誌?」 「テーブルの上にはアイスコーヒーと週刊誌が乗っていた。覚えてるのはそれだけです。」 「何の週刊誌か分からない?」 「ああ。表紙は見えなかったし・・・。」 「そうか、分かった。」 「それじゃあ、爆発の後、その男達のことは見てないんだね?」 「はい。夢中で逃げたから。」 「なんで?」     
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