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マリーの心の中に母の声が聞こえた。これが超能力なのか、それはマリーにも分からない。この件についても母は何も説明してくれないのだ。が、たまに母はマリーの心に直接話しかけてくることがある。
『顔色を読まれないように話を合わせなさい。』
不思議なことにマリーから母へ語りかけることは出来なかった。会話は出来ないのだ。ただ、母の声を聞くだけである。
「この人、見掛けたの?」
とテレジア。
「うん。奥のテーブルにいた。格好良かったから覚えてる。素敵なスーツ姿だったわ。」
「誰かと一緒だった?」
「はい、男性2人と一緒でした。」
「その人達はどんな人だったの?」
テレジアがマリーへの尋問に加わる。
「あのね、30過ぎぐらいのやっぱりスーツを着てる人たちだった。」
「何か話は聞こえた?」
不安そうにマリーはテレジアの顔を見る。
「何か聞こえたの?」
マリーは首を振った。
「ほんとに? 他に何も見なかった?」
これはテレジアだ。
「あ、テーブルの上に週刊誌が乗ってたわ。どこかのページが開かれていて、見てた。」
「週刊誌?」
「テーブルの上にはアイスコーヒーと週刊誌が乗っていた。覚えてるのはそれだけです。」
「何の週刊誌か分からない?」
「ああ。表紙は見えなかったし・・・。」
「そうか、分かった。」
「それじゃあ、爆発の後、その男達のことは見てないんだね?」
「はい。夢中で逃げたから。」
「なんで?」
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