第4章 千里眼(後)

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 その主役が帝都大学経済学部の神島隆一である。東光大学柳澤ゼミの梶原桃子講師が隣に座る。会議受付の席に三島悠里の姿もあった。 「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。私、政治経済研究学生連合の世話役を引き受けた柳澤です。お見知り置きを願います。」  会議室は大きな拍手に包まれる。 「まず、この会立ち上げに強いお力添えをいただいた東京シティTVの湊常務にお言葉をいただきたいと存じます。」 促されて湊が席を立つ。受付の三島悠里と1/2秒ほど目配せをするとゆっくりと話し出した。 「まずは政治経済研究学生連合の立ち上げおめでとうございます。私ども東京シティTVではマスコミ代表として若い提言者の皆さんを大いにバックアップしていく所存であります。」  しかし湊にはこの政治経済研究学生連合の趣旨が何も分かっていない。湊は誰だかにセットされた評論家の柳澤と自由党副幹事長の会談に出席し、局としてバックアップするという約束をしていた。何故そうなったのか、今でもよく分からない。  ただ、頭の中は夕べの受付嬢三島悠里との情事が反復され、にやけそうになる顔を押さえるのに必死だった。   大きな拍手の中、湊が着席すると、自由党副幹事長真田宏一が立ち上がった。話は長く柳澤の割り込みでようやく終盤へさしかかったが、     
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